採用活動を始める時にまずはじめに行う目標設定。
採用活動におけるそれぞれのステップは、この目標から逆算して行われるため、目標設定は非常に重要です。
目標を正しく設定することで、常に達成までのプロセスを把握、改善箇所を可視化することができます。
この記事では、改善箇所を把握するための適切な目標設定の方法と、円滑に採用活動を進めるために、目標設定の際にしておくべきことについて解説します。
基本的な内容ですが、改めて採用目標の設定が正しくできているか振り返ってみてください。
採用目標を設定するメリット
採用目標を設定するメリットは大きく分けて二つあります。
・目標達成までのプロセスが把握できる
・改善箇所がわかりPDCAを回すことができる
目標設定の際は、採用人数などの最終的な目標だけでなく、エントリー数や一次面接通過数など、採用プロセスごとの目標を設定するようにしましょう。
そうすることで、不足している部分や次にやるべきことを常に可視化し、チーム内で共有することができます。
また、採用におけるプロセスごとの目標と結果を明確にしておくことで、改善すべき箇所が一目瞭然となるため、採用活動におけるPDCAを円滑に回すことができます。
目標設定のステップ
採用における目標設定のステップは、以下の通りです。
最終的な目標となるKGIを設定した上で、その達成に向けて必要な項目をKPIとして設定するようにしましょう。
KPIを達成していけば、KGIが達成される状態が理想です。
KGIの設定
KGIとは、Key Goal Indicator(重要目標達成指標)のことで、最終目標を指します。採用におけるKGIを設定する際は、「いつまでに○人採用する」というゴールを設定しましょう。
また、配属したい部署や新入社員に期待することを元にして、「どんな人材」を採用できれば採用活動が成功したと言えるのかも定義しておきましょう。
この際、社員が直感的に共通認識を持つことができるようなスローガンを決めておくことも有効です。
例えば、「ファーストペンギン採用」「〇〇さんのような人物」のように、社員の間で共通認識が可能なものとします。これは学生に向けて公表する採用スローガンとは別に用意しても問題ありません。
KPIの設定
KPIは、Key Performance Indicator(重要業績評価指標)のことで、KGIの達成度を図る中間指標です。
採用活動におけるKPI設定の際は、採用フローに応じてそれぞれの段階にKPIを設定しましょう。
例えば、書類選考ののち、一次面接→二次面接→最終面接という選考フローの場合、それぞれのフローで以下のように目標を設定できます。
エントリー数:800
↓
書類通過数:560(書類通過率約 70%)
↓
1次面接参加数:448(離脱率約 20%)
↓
1次面接通過数:270(通過率 約60%)
↓
2次面接参加数:216(離脱率約 20%)
↓
2次面接通過数:85(通過率約40%)
↓
最終面接参加数:68人(離脱率約20%)
↓
最終面接通過数:34人(通過率約50%)
↓
内定承諾者:20人(承諾率約60%)
最終的に採用したい人数から逆算してそれぞれの必要人数を計算しましょう。また、離脱率や通過率は例年のデータをもとに現実的な数字を設定することが重要です。
KPI設定におけるよくある間違いとして、競合他社と比較して目標値を出そうとしてしまうことがあります。しかしながら、採用人数や規模、目的が全く同じ会社はほぼ存在しないので、完全に比較することはできません。
あくまで自社の採用戦略においてどのような目標を設定するべきかを考えていく必要があるのです。特に新卒採用を初めて行う場合は、一旦事業部や本社から必要とされる人数を目標に設定し、そこから保守的に遷移率目標を置いた上で、適宜修正を加えていくようなやり方で考えていましょう。
KPIに沿った採用活動の実行
設定したKPIに沿って、実際の採用活動を進めていきます。
採用活動を進めながら、各フローごとに目標を達成できているか定期的にチェックするようにします。
もしも実際の結果と目標にずれがあった場合、最終的なKGIを達成できるよう、計画や目標を修正しましょう。
KPI設定のポイント
KPIを設定する際のポイントは大きく分けて以下の5つです。
Specific(具体的に)
Measurable(測定可能な)
Achievable(達成可能な)
Related(経営目標に関連した)
Time-bound(時間制約がある)
目標設定のポイントであるこれら5つの頭文字をとって「SMART」と呼ばれます。
具体的に設定する
KPIは具体的、定量的に設定します。チームの誰が見ても同じように認識できる指標を定めるようにしましょう。
計測できる仕組みを整える
KPIを設定しても、計測できていなければ意味がありません。
例えば、自社を認知している候補者の数・母集団の数を設定する場合、どの媒体で何人に接触できたのか計測できる仕組みを整えておくことが必要となります。
目標を決めたら、設定した値のそれぞれが、計測可能なものであるか確認しましょう。
特に採用シーンでは、使うツールによってターゲットのページ遷移などがトラッキングできないものもあります。設定した目標が正しく計測できる環境であるかを確認するとともに、正しく取得可能な数値を目標に置くようにしましょう。
現実的に達成できる目標かどうかを確認する
理想的な数値であっても、現実とかけ離れていて達成に無理があるような目標ではあまり意味がありません。目標が高すぎたために達成できなかった場合、成功要因や失敗要因の分析が困難であるだけでなく、社員のモチベーション低下にもつながりかねません。
現状との差を考えて、何をどうすれば達成できるのかを具体的に設計できる範囲の目標を設定するようにしましょう。
経営方針に沿った目標にする
今後の経営方針に合わせた人数や人物を採用するためには、経営層とのすり合わせが欠かせません。
「今後海外展開を強化したいため外国語に強い人材を採用する」「営業を強化して新事業を推進したいので営業に向いている人材を採用したい」というように、経営方針に沿った採用目標を立てていきましょう。
また、KPIの数が多い場合、どの指標が重要なのかわからなくなってしまったり、チームや個人が目標の数字に追われてしまうことがあります。
こういった場合にも、経営層との方針のすり合わせを行っておくことによって、特に注力すべきKPIを明確にすることができます。
会社の方針として数を重視したい場合はエントリー数や母集団の数に、採用する社員の質に注力するフェーズであれば最高評価での採用人数や内定承諾率に、重点をおくと良いでしょう。
経営層と採用チームの間で目標の優先順位にずれが生じないようにしておきましょう。
目標達成のスケジュールを明確にしておく
いつまでに採用を終えたいのかという最終的な時期だけでなく、それぞれのKPIをいつ頃までにどれぐらい達成しておきたいのか、具体的なスケジュールを決めておきましょう。
時期を明確にしておくことで、達成度や遅れ具合が可視化され、見直しが必要な箇所が合ってもすぐにわかるようになります。
最後に
採用目標の設定について解説しました。
目標設定の際は、最終目標を設定し、そこから逆算してそれぞれのフローのKPIを設定します。
その際には、
・具体的に設定する
・計測できる仕組みを整える
・注力するKPIを明確にする
というポイントに注意しましょう。
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