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優秀な人が会社を辞める原因4つ!退職の兆候と対策を解説

あなたの会社で、せっかく採用できた、あるいは育ててきた「優秀な社員」にかぎって辞めてしまうのはなぜなのでしょうか。

彼らは辞める理由について、

「会社に不満があるわけではないけれど」
「会社への不満は全くなくて」

と口を揃えて言うかもしれません。

しかし、もしかするとそれは円満に退職するための建前かも。

優秀な人が辞めていかない会社を作る第一歩は、「なぜ優秀な社員がやめるのか」を正しく知ることにあります。

本記事では、優秀な社員が辞めてしまう5つの理由と優秀な社員が辞めない組織作りについて、プロが解説します。

優秀な人が会社を辞める理由5つ

優秀な社員が会社を去っていく理由にはいくつかのパターンがあります。やめる原因によって、会社の課題や取るべき対策は異なってきます。

本記事では、入社1~5年目の若手社員を想定して辞める理由と対策を解説していきます。

理由①人事評価や待遇が見合っていないと感じる

結果を残している優秀な人であれば、それだけ他の選択肢も豊富にあります。

  • 他の会社に行った方が待遇が圧倒的に良い
  • 結果を出していない上司の方が良い待遇を受けている
  • 人事評価に納得いかない

なんてことがあると、優秀な社員が去る原因になりかねません。

また、「他の会社に勤める同期と比べ、自分の待遇が低いと感じた」というように、会社の外に目を向けた時、社内の環境に魅力を感じなくなるというケースもあります。

理由②やりがいが感じられない

仕事の中で高いパフォーマンスを発揮していたとしても、本人はやりがいを感じていないということもあります。

思い描いていた仕事と、実際の業務のギャップを強く感じて転職に至った事例として、本サイトに掲載している事例の一部を紹介します。

”材木を活用した設計や寸法を測ったり、自分の専門ではない専門書を読む日々が続き、このままでいいのかと自分に問い、上司へ相談。現場での期間は短くなったが次に配属されたのは財務の部署だった。日々Excelとひたすら向き合う日常は、人と会話することでプロジェクトを進めたいと考えていた彼女の働き方とは全く異なるものだった。”

https://recruiting-branding.com/insight_06/

この事例では、彼女は3年目で転職を選択しています。

やりがいを強く求めている人の場合、一つ目のパターンとは逆に、収入や待遇が下がってでも転職することがあります。

理由③成長機会が少ない

一定期間働いて、仕事をこなせるようになったときに起こりがちなのがこのパターンです。優秀な人ほど自己成長を求める人が多く、成長機会がないと感じると辞めていってしまうのです。

こちらも過去のインサイト記事を紹介します。3年目にして人材業界からSaasの領域へ転職を選んだこの事例では、転職を考え始めたきっかけとして

“今の会社でこのままにリーダーになっても市場価値は高まっていかないという漠然とした思いがあった。”
“ロールモデルとなるような、目指したいと思える人がいないと感じ、2年目の終わりには次の役職や業務内容が見えてきてしまった。”

https://recruiting-branding.com/insight_05/

ということが挙げられています。

「期待していたほど上司が優秀ではなかった」「フィードバックの質が低くて成長を実感できない」というように、上司に対するパフォーマンスへの期待感にずれがあるケースも少なくありません。

特に、昨今話題になっている”年収1,000万円人材”と呼ばれるような「スペシャリスト人材採用」においては、ハイレベルな人材を採用できたとしても、そのレベルの人材をマネジメントする組織風土やアサインができておらず、早々に離脱してしまったケースも聞いています。

理由④会社の方針に共感できない

例えば、個人としては「お客様のためになること」を最も大切にしているのに、会社としては「売り上げと結果」を最重要視している場合、日々の業務の中でこのズレを感じることになります。

こうしたズレがモチベーションを下げることにつながり、転職を選択するパターンです。

また、こうした方針のずれは、会社として大きな決断をする際にも起こりえます。全員を納得させる決断は難しいかもしれませんが、きちんと社員に説明したうえで決断できるかどうかが重要といえます。

会社の方針に疑問を持つ社員の声として、実際に以下のようなケースがありました。

  • 「他社がコロナウイルス感染症対策として、〇〇という考えから、△△という施策を行っているのに対し、なぜ自社は〇〇という理念を持っているのに××しないのか」
  • 「新商品を開発するのはいいが、顧客の何の課題を解決し、なぜ今これをやることになったのが分からず、販売にあたっても身が入らない」

優秀な人であればあるほど、自らの頭で物事を思考して、自分自身に落とし込むというプロセスを辿ります。そのため「なぜ」という目的や背景が不明確であることは、会社の方針に疑問を感じる原因となるのです。

理由⑤人間関係の悪化

上層部の争いなどで会社全体の雰囲気が悪くなると、直接争いに関わっていない人も含めて一気に社員が辞めていってしまうこともあります。

また、「苦手な人がいる」「相性が悪く仕事がやりづらい」という目に見える問題がなくとも、「相談できる相手がいない」ということが辞める引き金になるパターンもあります。

キャリアについて悩みや相談したいことがあっても、本音で話せる人が1人もおらず、そのまま辞めてしまうというパターンです。

優秀な人がやめる兆候3選

今後も仕事を任せていきたいと思っていた優秀な社員に「突然やめると切り出された」と驚いている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、退職を考えている社員は、なんらかのサインを出している可能性が高いです。事前にサインに気づき、適切なコミュニケーションを取ることで、問題を解消できる場合もあります。

退職の兆候①人付き合いが希薄になってくる

会社の飲み会に参加しなくなる、同僚の集まりにあまり来なくなるなど、以前と比べて職場での人間関係に積極的でなくなってくるパターンです。

退職を検討し始めている場合、「退職を考えていることを悟られたくない」「なんとなく顔を合わせづらい」といった理由から業務外での付き合いを避け始める場合が多いのです。

退職の兆候②会議で発言しなくなる

退職を検討し始めている場合、「今後の仕事については自分とは関係ない」と考えるようになります。

転職活動を並行して行っている場合、最低限の仕事はこなしながらも、会社をより良くするための行動や発言に対して消極的になることがあります。

退職の兆候③転職活動をしている様子がわかる

普段スーツを着ない人がスーツを着ていたり、いつも以上に髪型を整えてたりと、転職活動をしている様子がうかがえる場合もあります。

電話で業務とは別のやりとりをしている、遅刻・早退が増えるなども転職活動をしている兆候である可能性があります。

「もしかして」と思ったら

退職を考えている様子が見られた場合、一度声をかけてみましょう。

退職や転職を考えている理由を早めに聞き出すことができれば、お互いが納得できる方法を見つけられる可能性があります。

一方で、本人が心をすでに決めている場合は、無理に引き留めるのは得策ではありません。詳しくは本記事の下部「辞めたいと切り出されたら」をご覧ください。

「優秀な人が辞める」は経営課題である

社員が辞めると、ポジションが空いてしまったり仕事に対して人手が足りなくなったりといった問題が起こります。しかしながら、「優秀な人が辞める」ということは単なる人材不足以上の経営課題なのです。

優秀な人が辞めることによって起こる課題を見ていきましょう。

影響①会社全体の生産性低下

社員をまとめる重要なポジションにいた人が辞めてしまうと、最悪の場合事業が立ち行かなくなってしまうかもしれません。

影響力の大きい社員の後を追ってさらに人が辞めたり、残った社員のモチベーションが下がったりといった影響も考えられます。

また、優秀な人が構築してきた仕組みやノウハウを引継ぐ際に、残存するメンバーがその内容を十分に理解できず、インシデントを発生させてしまうという事態も想定されます。

影響②ノウハウの流出

もし社員が競合へ転職した場合、人材が流出するだけでなく、その人が持っているノウハウや能力までもが流出することになります。転職先でも重要人物として事業を引っ張っていく存在となれば、競合に負かされる原因となるかもしれません。

また最近では、歴史ある会社に働いている中で見つけた課題を参考に、ベンチャー企業として起業する人も少なくありません。本来であれば自社内で解決することで大いなる利益を獲得していた可能性があるものが、潜在的に失われているとも考えられます。

影響③組織イメージの悪化

離職の理由や経緯によっては、社内のみならず社外からの会社に対するイメージ悪化にもつながりません。

昨今においては、SNSを通じて会社以上に個人に注目が集まることも少なくありません。

特に若手で優秀な人に限っては、自分と同等のコミュニティーやネットワークを持っている事が多く、その範囲の中で悪評が広がってしまうと将来的に大きな損害ともなり得るでしょう。

優秀な人が辞めない会社にするために

優秀な人が辞める理由と、辞めることの影響をお伝えしてきました。

では、こうした課題に対してどのような対策をしていけば良いのでしょうか。

本記事ではこれらの課題や問題を起こさないための取り組みとして注目されている 『採用ブランディング』『組織ブランディング』という2つの手法をご紹介したいと思います。

優秀な人が辞めない「採用ブランディング」

採用ブランディングとは、”採用候補者” を対象に、就職先として自社を選んでもらうためにブランドを構築していくことを指します。

採用ブランディングおいて重要なポイントは、「候補者が、自社らしさに共感した上で、自社を最も就職したい会社だと思ってもらうこと」をゴールとしている点です。

採用ブランディングに関する詳しい定義や取り組みはこちらの記事でもご紹介しています。

数年前までは、採用競争が激化する中で、少しでも魅力的な採用広報や施策を展開し、求職者の興味を惹く取り組みをすることが主流でした。

一方でオーバーコミットして伝えられた情報は、入社を決めた人たちに高い期待感を抱かせ、実際に現場に配属されたときの実態とのギャップに苦しむケースが散見されました。

実際に、「優秀な人が辞める理由」で紹介した

  • 成長機会が感じられない
  • 会社の方針に共感できない

といった事象は、入社前に思い描いていた仕事の内容やレベルとのずれやギャップによって起こっているものです。

こうした事態を防ぎ、「自社のありのままの姿に共感して中長期的に活躍する人材」を確保するために必要な取り組みは以下です。

 POINT

①現場と採用チームの連携を取り、広報内容と実態とのギャップを減らす

②嘘偽りのない”自社らしさ”を正しく言語化する

③採用候補者のインサイトをふまえたコミュニケーションを行う

せっかく高い採用コストをかけて採用した人材であっても、数年も経たないままに辞められては元も子もありません。

ありのままの自社像に共感してくれる人材の採用を目指しましょう。

優秀な人が辞めない「組織ブランディング」

組織ブランディングとは、”自社の社員や関係者”を対象に、自社で働き続けたいと思ってもらうためにブランドを構築していくことを指します。一般的なブランディングの概念ではインナーブランディングとも呼ばれています。

組織ブランディングに関する詳しい定義や取り組みはこちらの記事をご覧ください。

優秀な人が辞める理由でご紹介してきた

  • 人事評価や待遇が見合っていないと感じる
  • 会社の方針に共感できない

といった問題は、この組織ブランディングの取り組みの中で解消していくことができます。

例えば人事評価や待遇においては、大盤振る舞いはできなくとも、

  • 何をすれば評価されるのか
  • 何を目標に取り組むべきなのか
  • 目標の背景や理由は何か

といったことがハッキリとしている組織を構築できれば、自ずと社員に一貫した行動が生まれ、不透明性故の不満感等は排除することができるでしょう。

ただ、今ある制度を改善するのではなく、”自社らしさ”を言語化した上で、自社のあるべき姿から逆算して必要な仕組みを構築し、その結果として自社社員が生き生きと働く組織を構築するのが組織ブランディングの意義となります。

辞めたいと切り出されたら

前提として、上記でご紹介した採用・組織ブランディングができている組織において、辞める社員が現れることは決してネガティブなことではありません。

ブランディングを行うことで、自社に合う人と合わない人が明確になるという効果があります。結果として双方合わないという見解になれば、見方を変えると企業にとっては不活性人材を抱えるリスクの解消になりますし、本人にとっては自分に合わないストレス環境からの脱出と、新たなキャリア機会に出会うチャンスとなります。

とはいえ、結果として”辞める”という事で、企業にとってマイナスに転じることもあります。そのためまず打ち手としては、以下のようなことが必要です。

 POINT
  • ”辞める”という決断がされる前にコミュニケーションができる環境づくりを行い潜在的な退職リスクを可視化しておく
  • 仮に退職に至った場合には、本人との前向きな関係性を維持し、最善の引継ぎを行ってもらえるような状態を作る
  • また、辞めると切り出された時に、頑なに止めたり、考えを批判するようなコミュニケーションを行うのではなく、辞めた後も有機的な繋がりを継続していけるような環境を構築し、その上で気持ちよく送り出せる風土を作ることが効果的です。

    外資系企業にはよくあるものですが、一度でもその会社に所属していた人であれば参加できるアルムナイ=退職者コミュニティという枠組みを持つ企業もいます。

    こういった企業では、仮に一時の事情で会社を離れることになったとしても、取引先や提携先といったビジネスパートナーとしてや、出戻り採用の候補者として関係性を継続することができます。

    これは昨今の第二新卒や転職キャリア市場の拡大といった背景からも有効であり、終身雇用を前提としない組織作りの重要要因として考えられるものです。

    まとめ

    人や組織の課題は、人事部だけで完結せず、経営陣と共に適切な対応を行っていくことが肝です。

    優秀な人が辞めるとなったときに、「現場が合わなかったから」「その人の性格が」といった改善不可能な要因で片付けるのではなく、採用や組織作りの観点から見直すべき点を明らかにしましょう。

    今回ご紹介した採用ブランディング、組織ブランディングという手法は、自社らしい競合優位性を築き、優秀な人が辞めない環境を構築する方法であり、数年以上かけて継続的に積み上げていくことが必要です。

    当サイトBrandgeを運営するGame Changers合同会社では、採用・組織ブランディングのコンサルティング、推進支援を行っています。今回お伝えした課題や問題に少しでも心当たりのある方は、是非一度ご相談ください。

    https://www.gamechangers.co.jp/
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