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「キャリアを決めても意味がない」と考える社会人3年目の転職とは?

「インサイト」とは、顧客やターゲットの行動の根底にある、時には本人さえも気付いていない動機・本音のことです。

大勢を対象にしたアンケートなどによって得られる定量的なデータとは異なり、個別の取材などを通して潜在的な本音を探った定性的なデータは、ターゲットの心理や購買動機を深く知るために活用できます。

これは採用市場においても同じで、社会人や転職者の心理を知ることは採用活動や採用ブランディングの大きな手助けとなるでしょう。

しかし、ターゲットとなりうる社会人とめぐり合うことは難しく、またそのような社会人からしっかりとヒアリングする時間を取ることが難しい場合が多いのではないでしょうか。

そういった悩みを解決すべく、Brandgeでは一人の社会人を徹底的にフォーカスしたインサイト記事をご提供します。(※あくまで社会人全体ではなく、個人に対するインタビューの結果ですので、情報の取捨選択にはご注意ください。)

現在、社会人3年目にキャリア観や学生時代の経験についてインタビューしました。

対象者の属性紹介

今回の調査に協力してくれた社会人の方について簡単にご紹介します。

社会人3年目。大学は早慶。学生時代にはお世話になった塾に4年間従事。また学生運営のカフェにも参画して学生ながら店長代理や来店数を上げるための施策の企画から実行まで取り組む。経験や年数に関係なくチャレンジできる環境で過ごしたからこそ、就職活動を通して年功序列に賛同できない、という思考のもと1社目では人材系のベンチャー企業に就職。社会人3年目のタイミングでSaas業界へ転職。

企業を選択する基準

ではさっそくインタビュー内容をご紹介していきます。今回は大きく分けて二つ、キャリア選択の基準についてとインターンシップについて答えてもらいました。

 Question1  

なぜベンチャーを選んだのか

「楽しそう、自由にやれそう、裁量権ありそう」

就活を振り返ってベンチャーの選んだ理由をシンプルに彼女は話してくれた。
学生時代のインターン経験から、

「何年生とかスキルとかに関係なく、やる気がある人であればいつでもどんどんチャレンジできる環境がとても刺激的で楽しかった。」

結果を出せば出すほど、また新たなチャレンジをすることができるという環境が自分に合っていると考えた彼女は、スタートアップやベンチャー企業に就職したいという想いが強くなった。

 Question2  

ベンチャー企業をどのように選んだのか

色々な業界問わず様々な社会人にOB訪問を行ったという。

人材業界を選んだ理由としては、自分の親があまり楽しく働いていなかったということが大きく影響しているという。また、就活で会う人たちでもOB訪問をした社会人に対しても、「楽しそうにやっている人がいない」と感じる部分もあったという。
世の中あんまり生き生きと働いている人が少ないのかもしれない、だからこそ、働くというヒトのライフステージに関わるところを変えたいと思うようになった。

また、OB訪問を行っていくうちに、年功序列という制度は本質的じゃないと感じたという。年を取っている方が必ずしも優秀とは限らないし、年齢を重ねているからスキルがある・役職があるということにも納得がいっていなかった。

ベンチャー企業に就職して、何を感じたのか

 Question3  

ベンチャーならではの入社して良かったこと

「自由と裁量がある」ということは本当にその通りだったと思う。
自分が計画したものについては、ターゲットを正しくとらえていたり意味があるものであれば、背中を押してくれる環境だった。具体的には採用イベントにおいてどのような企業を呼ぶか、どのように学生を集客するかなどもすべて任せてもらえるような仕事だったという。

 Question4  

ベンチャー企業に入って感じた悩みや課題とは?

「自由がゆえに責任も重く、完全に放置。」ということも痛感したという。

自由の裏返しでもあるが、大きな仕事や裁量を与えてもらえるが、特にフォローがあるかというとそういうわけでもなく、失敗しても「次チャレンジしよう」という風土でもなかった。どちらかというと事業として掲げる目標数字について詰められる場面があったり、文句を言うようなマネジメントになっていた。また当然ではあるが、自分が立ち上げた企画に対して責任を負ってくれるわけでもない。

また、自分のロールモデルとなるような人がいないと感じてしまったこともあるという。自分の中で感じる優秀だなと感じる人が多かったわけではなく、2年目の終わりには次の役職や業務内容が見えてきてしまった。そんなギャップや課題を感じるようになってきて、2年目の終わりの方が業務に飽きてきてしまった部分もあったという。

転職の決め手と選んだ道を正解にするために

 Question4  

(新卒の時と比較して)次はどんな会社選びの軸になるのか?ベンチャー企業を最終的に選択した理由は何か

当初は転職するつもりはなかったという。
しかし「今の会社でこのままにリーダーになっても市場価値は高まっていかない」という漠然とした思いがあった。
そこで、すぐに転職する気ではなかったが社会人2年目の12月くらいから動き出して、とにかくWantedlyなどで面談に参加したことがきっかけだったという。

新卒の時と大きく異なる点としては、ビジネスモデルを見るようになったと話してくれた。
人材のビジネスモデルでよく起きるジレンマなのだが、マッチングビジネスであるがゆえに、KPI達成のために企業の承諾率を追うといった姿勢が、業界の課題解決に対して本質的ではないと感じる部分は少なからずあったという。
口先だけではない、本当に顧客のためになるものはどのようなものかと突き詰めて考え抜いた結果、SaaSという答えにたどり着いた。

SaaSのビジネスは常にお客様に満足してもらわないと継続課金が途絶え売上にも繋がらない。
継続率を追うためには、顧客の期待を超えるためプロダクトもどんどん成長していかなければならない。
まさにクライアントファーストを達成できると感じたのだ。
また、SaaSの中でも現職を選んだきっかけは、自分自身の職種の経験から企業のかなえたいミッションに共感できたことが決め手になったという。

 Question4  

今後はどんなキャリアを歩んでいきたいか?

「ずっと死ぬまでワクワク楽しくいたい」と彼女は話す。

最も印象的だったことは、キャリアについては、

「決めても意味がない」

と話してくれた。コロナで世の中が一変してしまい、これまで考えてきたキャリアであったり大手企業が倒産したりという社会を目の当たりにしてきて、むしろ目の前に業務をまっすぐ向き合うことが大事だと感じている。
だからこそ、”ずっと死ぬまでワクワク楽しくいたい”という意志に変わってきたのかもしれない。

まとめ

転職を経験した社会人3年目の生の声を聞いて、どう感じただろうか?

このようなコロナによりガラッと環境が変わるからこそ、目標やキャリアを決めすぎても意味がいない。
つまり、自分自身がどのようなことに熱中できるのか。
その目の前に仕事に専念できるような、ワクワクする選択肢を選ぶ意思決定をしました。

また、就活当初から年功序列に疑問を持ち、自由と裁量を求めてベンチャー企業に就職するも、現実とは乖離している部分が多々あるがゆえに転職を考えることもあるということも感じました。
現場では自分のやりたいことを表現しているメンバーもいたが基本的には自己責任だということ。
業界特有のビジネスモデルの「不」にも対して優秀な学生は1年目でも2年目でもジレンマを感じることがあります。

そして、優秀な人材と一緒に働きたいという想いも転職の背中を押す1つのきっかけにもなりうるのだと感じました。

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