新卒採用に内定辞退・選考辞退はつきものです。
この課題に悩まされている人事の方は多いのではないでしょうか。
就職活動の仕組み上、選考・内定辞退が一定数発生してしまうのは避けられないことでもあります。しかしながら、直前のキャンセルや辞退、予想以上の辞退が多数起きてしまうと、採用数が足りなくなるなどの問題につながります。
そこで本記事では、時期別の辞退理由と対策をご紹介します。
独自の仕組みで内定辞退を減らす取り組みを行なっている事例も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
学生一人当たり1社の内定辞退
人事担当者が頭を悩ませる選考・内定辞退。
学生が複数の会社に同時に応募し、並行して選考を進める就職活動の仕組み上、一定数の辞退者はどうしても出てしまうものでもあります。
「就職白書2021」によると、2021年卒の学生が得た内定数平均2.17社でした。つまり、学生一人当たり約1社の内定辞退が発生することになるのです。
【出典】:https://shushokumirai.recruit.co.jp/wp-content/uploads/2021/04/hakusyo2021_01-48_up.pdf
就職活動の仕組み上、一定数の選考辞退や内定辞退が発生することは避けられません。
しかしながら、採用競争が激化する昨今、優秀な学生を確保するためには辞退対策は重要な取り組みの一つであると言えます。
学生が選考を辞退する主な理由と対策
選考・内定辞退対策の具体的な取り組みに入る前に、学生が内定を辞退する主な理由を考えてみましょう。
選考途中の辞退理由
内定が出る前の選考途中での辞退理由としては、以下のようなものが考えられます。
・面接などで知った仕事内容が希望と違った
・面接などで知った給与・勤務地の条件が希望と違った
・他社の内定が決まった
・面接官や担当者の態度が悪かった
・面接での説明内容と求人情報に齟齬があった
学生がより志望度の高い会社を並行して受けていて、その会社からの内定が出たために辞退に至るパターンは、就職活動の仕組み上起こってしまうものです。
しかしながら、応募当初は志望度が高かったにもかかわらず「条件や仕事内容が希望と違った」「面接の印象が良くない」などの理由で志望度が下がって辞退に至ることがあります。
反対に、応募当初は第一志望ではなくても、選考を通して志望度が上がり、最終的に入社を決意するパターンもあります。
選考途中の辞退への対策
選考を通して志望度を下げられないためには、
・ウェブサイトなどの情報と実態の齟齬がないようにする
・説明会などでしっかり説明する
・面接後アンケートなどでフィードバックを行い、面接内容を改善する・面接結果をなるべく早く伝える
などの対策が必要です。
選考途中での辞退が多い場合は、HPなどの内容と面接で説明している内容に齟齬がないか、面接前後の対応に問題がないか確認しましょう。
また、面接結果を伝えるのが遅いと、結果を待つ間に選考に対するモチベーションが下がってしまったり、他社に魅力を感じたりすることがあります。
選考結果を早く伝えることで、次回選考の予約をしてもらいやすくなるだけでなく、企業としての印象も良くなります。
辞退する場合は速やかに連絡してもらう
当日や前日に選考をキャンセルされた場合、採用担当者の時間が奪われたり、面接枠が無駄になったりしてしまいます。
こうした事態を防ぐためには以下のような方法が考えられます。
■辞退連絡をしやすくする
辞退を伝えづらい、電話するのが億劫などの理由で辞退連絡を先延ばしにしてしまう人が多いのも事実。辞退すると決めたからには早めに連絡をもらえるよう、採用マイページやフォームからキャンセルを可能にするなど、辞退連絡のハードルを少し下げるのも一つの方法です。
■こまめに日程の連絡をする
複数の選考を並行して受けている学生の中には、選考の日程を忘れていて連絡が遅くなったり、無断キャンセルになったりする人もいます。このパターンを防ぐためには、予約時、1週間前、前日などこまめに面接時間をリマインドすることが有効です。
内定後(内定式前)の辞退理由
内定後の辞退については時期によって異なる理由が考えられます。
内定式よりも前の辞退については、以下のような理由が挙げられます。
・より志望度の高い会社から内定が出た
・希望の職種や業種が変わった
・内定後の対応などに不安要素があった
・公務員試験に合格した
内定後(内定式前)辞退の対策
内定後、内定式前の辞退に対する対策としては、面談や懇親会などが挙げられます。
■内定後面談を行う
内定式前の時期は、より志望度の高い他社からの内定を得ての辞退が起こりやすいフェーズです。
内定辞退が想定以上に出てしまうと採用数不足に陥ります。そうならないためには、内定者の状況を正しく把握することが必要になります。
例えば、
・Aさんは当社が第一志望で辞退の可能性は低い
・Bくんは公務員試験を受ける予定があり、辞退の可能性も残っている
・Cさんは他の業界も見ているので今後辞退に至る可能性がある
などです。
選考の過程では、学生もこれらの情報について本音を伝えにくいため、内定を出した後の面談などで、本音を聞き出す機会を設けるのが良いでしょう。
また、面談を通して内定者自身の疑問を解消したり、働くイメージを持ってもらうことで、辞退率を下げることにつながります。
■内定者懇親会を行う
懇親会を通して内定者同士の親睦が深まり、入社を迷っている内定者の背中を押すきっかけにもなります。
同期がいる安心感も辞退率を下げることにつながるでしょう。
内定後(内定式後)の辞退理由
内定式後の辞退理由として考えられるのは以下です。
・内定後のフォローなどで不安を覚えた
・就留を決めて他業界で就職活動をすることにした
・同期や会社の雰囲気と合わないと感じた
・親や周囲の反対にあった
・留年が確定した
内定式よりも後の辞退は、ある程度の入社意思があったにもかかわらず、それを覆す出来事や要因があった場合に起こりやすいです。
内定式後の辞退を防ぐためには、内定者に不安を感じさせないこと、入社後のイメージを持ってもらうこと、働く環境により魅力を感じてもらうことなどが大切です。
内定式後の辞退対策
内定後の辞退を防ぐためには、選考途中の疑問解消と、内定後のフォローの両方が必要になってきます。
■社内見学や座談会を選考フローに組み込み、疑問解消を行っておく
「内定後にイメージと違うことに気づいて辞退」とならないためには、選考フローの中で学生の疑問を解消したり、社内の雰囲気を理解してもらったりする場を設けることも有効です。
社内の雰囲気を知り疑問を解消した上での納得感のある内定承諾の場合、のちに辞退する可能性も低くなります。
■内定後のフォローを行う
内定後に面談や研修などのフォローをしっかりと行うことで、内定者に安心感を持ってもらうことができます。周りの学生が面談や内定者インターンに参加する中で、内定先からのフォローが全くない、質問をしても返信が遅いといった対応だと、不安や不信感を感じることもあります。
内定後フォローの取り組み事例
株式会社ジェイック
株式会社ジェイックは、「10年間で内定辞退は1人だけ」を提唱しています。
主な取り組みとして、社内報やFacebookなどでの近況報告によって学生との接点を保ち、電話やメールでいつでも相談に乗れる体制を整えています。また、懇親会や内定者研修などのイベントに加え、ビジネス意識を持ってもらえるプログラムを実施しています。
クックパッド株式会社
クックパッドでは、トランプ型自己分析ツール「ワークスタイルトランプ」を活用しています。
ワークスタイルトランプは52枚のトランプにはそれぞれ「働き方」に関するキーワードが書かれており、最も大事だと思う10枚を選び、どのカードが選ばれたかによって自社とのマッチ度を把握することができるというものです。
クックパッドでは内定者研修で同期や若手社員と顔を合わせる際にこのツールを導入しています。
ツールを通して仕事に対する価値観を考えることができるだけでなく、初めての顔合わせでも話題が生まれやすくなるのです。
サイボウズ株式会社
サイボウズでは、内定者の保護者も参加できる会社参観日、製品の広告を企画するワークショップなど特徴的な取り組みを行なっています。
家族の理解を得ることで、周囲の反対などによる内定辞退を防ぐことができます。
また、こうしたイベント以外にも「サイボウズLive」というグループウェアを通してコミュニケーションを取り、疑問を解消しています。
株式会社パソナ
パソナでは、全ての内定者が受けられるeラーニングを導入しています。
総合職などの資格が必要ない職種の場合、入社までの期間モチベーションを保ち続けるのが難しい場合があります。
エンジニア職に限らず全ての内定者に研修を受けてもらうことで、自社製品に詳しくなってもらうと同時に、入社までのモチベーションを保ち続ける狙いがあります。
まとめ
選考・内定辞退が起きる理由とそれぞれの対策方法を紹介しました。
・採用HP、選考過程、内定後で情報にギャップが生まれないようにする
・選考結果の連絡を早く行う、内定後もこまめにフォローをするなど丁寧な対応を心がける
これらの基本的な対策をとった上で、自社らしい魅力が伝わる工夫をしていきましょう。
当サイト「Brandge」を運営するGame Changer LLC では、採用ブランディングに関するご相談を承っております。
採用ブランディングは採用候補者に、自社らしさに共感した上で、自社を最も就職したい会社だと思ってもらうための活動です。
自社らしさに共感した上で選んでもらうことは、内定辞退の問題を解決することにもつながります。
内定辞退で悩んでいる担当者の方は、ぜひお問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。