「新卒採用を始めたけれど応募がなかなか集まらない」
「いざ選考を開始してみるとほしい人材が見つからない」
といった悩みを抱えている担当者の方も多いのではないでしょうか。
採用活動をスムーズに進め優秀な人材を採用するためには、母集団形成を戦略的に行っていくことが大切です。
本記事では、新卒採用で母集団形成を行うための6ステップと母集団形成の方法7つをご紹介します。
会社の新卒採用に課題を感じている方はぜひ参考にしてみてください。
新卒採用における母集団形成とは
新卒採用における母集団形成とは、自社の選考を希望する採用候補の学生を集めることです。
人口減少や少子高齢化の影響で、就職市場は売り手市場の傾向が加速し、2014年以降の有効求人倍率は1.0を超え続けています。つまり、労働者1人あたりに対し1件以上の求人がある状態が続いているのです。
売り手市場においては1人の労働者を複数の仕事が取り合うため、採用競争が起こります。この競争の中で「応募数が足りない」「基準をクリアした人材が集まらない」といった事態を防ぐために、戦略的に母集団を形成していく必要があるのです。
母集団形成における注意点
母集団形成において大切なのは、できるだけ自社に合った人材や採用する可能性の高い人材を集めること。母集団形成を行う上で目標値となるのはエントリー数や登録数です。
しかしながら、これらの数値だけを追って母集団の「数」を多く集められたとしても、採用基準に満たない学生ばかりで母集団の「質」が低ければ、結果的に採用活動の効率が下がってしまいます。
量・質ともに十分な母集団形成のためには、自社に合った方法を選択することが重要なのです。
新卒採用の母集団形成を行う6ステップ
新卒の母集団形成における重要なポイントは
・母集団の量と質を意識すること
・自社に合った方法で母集団を形成すること
です。
以上のポイントを押さえたうえで新卒採用の母集団を形成する具体的なステップを確認していきましょう。
ステップ①採用の目的確認
採用活動の目標や具体的な施策に入る前に、採用活動自体の目的と方針を確認しましょう。
経営層との擦り合わせができていない場合は、そこから取り掛かります。
経営理念や経営方針から現場までの一貫性が重要なのは、他のプロジェクトでも採用活動でも同じです。
経営方針・戦略から考えてどういう人材や組織が必要なのか経営者と対話した上で、採用活動の目的を明らかにしていきましょう。
【経営方針から採用目的を策定する例】
・〇年後にこの事業を成長させるための人材が欲しい
・新規事業のリーダーになれるような人材が欲しい
母集団形成を行う際に限らず、採用目標の設定や採用にかける予算などを決定する上でも、経営層とのすり合わせは必要不可欠。
実際の採用施策に入る前に、必ずこの作業を行っておきましょう。
ステップ②採用目標を設定する
ステップ①で確認した採用の目的をもとに、どんな人を何人採用したいのか目標を設定していきます。
この際、現場に今後必要な人材について聞き取りを行ったり、活躍している社員へのインタビューを行ったりすると、ターゲットをより明確にすることができます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
ステップ③母集団の目標を設定する
「どんな学生を何人採用するか」という目標を決めたら、選考を行う時期から逆算して、いつまでに何人程度の母集団を確保する必要があるのか明確にしていきます。
この際、例年の採用実績や想定される辞退率などをもとに、目標の採用数を確保するために必要な母集団を割り出していきましょう。
それぞれの選考ステップでどれぐらいの歩留まりや辞退が出るのか想定しておけば、後に採用活動を振り返る際にも課題を発見しやすくなります。
【選考フローごとの目標設定例】
また、採用活動におけるPDCAを回すためにはどのようにデータを集めるのかも想定しておく必要があります。
複数の採用媒体やデータベースを用いて情報管理する場合、正しい数値を集計することが困難になるケースが多々あるので、最低限立てた指標の成果や、精度の高い情報が得られる目標を立てることが大事です。
ステップ④母集団形成の方法を決める
ターゲットとする学生に合ったメッセージや訴求点を明らかにしながら、母集団形成のために行う施策を具体的に決定していきます。
母集団形成方法には、自社のサイトや説明会を行う方法から合同イベントへの参加や他社プラットフォームを使う方法まで、さまざまな方法があるので、それぞれのメリット・デメリットを踏まえて施策を組み合わせるとよいでしょう。
母集団形成の方法とそれぞれの特徴についてはページ下部の「新卒採用で母集団形成をする方法7つ」で紹介しているので、参考にしてみてください。
ステップ⑤採用活動を開始する
母集団形成をする方法が決定したら、いよいよ施策をスタートさせていきます。
ターゲットとなる学生にしっかりとアプローチできているか、自社の打ち出しているクリエイティブやメッセージはターゲットにとって魅力的かどうかという視点を持ちながら説明会や選考の内容を改善していきましょう。
ステップ⑥振り返りを行う
採用活動が終了したら、母集団形成はうまくいっていたのか、狙ったターゲットにアプローチできていたのか、数や費用は適切だったかなどの振り返りを行います。
振り返りの際に課題を発見しやすくするためにも、目標はできるだけ具体的に立てておきましょう。
新卒採用で母集団形成をする方法7つ
有名就活サイトの利用から社員による紹介まで、新卒採用における母集団形成の手段はさまざまです。効果的に母集団を形成していくためには、それぞれの手段の特徴を知り、自社に合った方法を組み合わせていくことが重要といえるでしょう。
就職サイト
多くの企業が利用している最も一般的な母集団形成の方法です。利用者の多い大手就職サイトを利用することで、幅広く学生にアプローチできることがメリットといえるでしょう。
一方で、掲載企業数が多いため、競合他社との差別化が課題となります。一度掲載したあとも、文言を変える・上位表示オプションを利用するなど、応募数を増やすための取り組みを行う必要があります。
人材紹介
先に紹介した就職サイトでは掲載料がかかるのに対し、人材紹介の場合には採用が決定した場合にのみ成功報酬が発生するため、リスクの低い方法といえます。エージェントが学生の適性を見極めマッチしやすい人材を紹介してくれるため、自社に合った学生に出会える可能性が比較的高くなるでしょう。
しかし、人材紹介は基本的に短期的に採用成果を生み出せる一方で、中長期的には採用コストが高くなる点には注意が必要です。また、人材紹介なくして採用できない体質になってしまうと、高いコストがかかり続けてしまうことになるため、自社で採用する力を養うことも大切です。
合同説明会
合同説明会では、学生に対して会社の魅力を直接伝えることができ、学生にとっても主要な情報収集の手段一つです。
実際に、2015年の調査では、学生が内々定を受けた企業について情報収集を行った手段として、合同説明会を挙げている割合は約半数にのぼりました。
一方で、説明会に来る学生は必ずしも自社に興味を持っている学生とは限りません。説明会にどのような学生が来るのかを考えコンテンツを用意しなければ、印象に残らないばかりか、かえってマイナスイメージを持たれてしまうこともあります。
また、説明会には例年どのような学生が来るのか、どの程度集客力があるのかなどは事前にチェックし、参加する説明会を選ぶことも必要でしょう。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、いわゆる「スカウト」といわれる手法です。データベースに登録している学生の中から、会社が求める経験や知識を持った人材に直接アプローチすることができます。
自社に合った人材にアプローチすることができる一方、この方法ではスカウトを送る学生の選定やスカウト後のやり取りなど、工数がかかります。そのため、幅広くアプローチすることは難しく、母集団の数よりも質を重視する場合に適した方法です。
自社HP
コロナ禍の就職活動においては就活生が情報を得る方法として「企業HPを見ること」がトップとなっています。
自社採用サイトを工夫し、より魅力的に見せることで、応募率を上げることができるでしょう。また、就職サイトや説明会などをきっかけにサイトを訪問するケースも多いため、他の手段との組み合わせも効果的です。
加えて、自社のオウンドメディアを運用することで、より詳しくわかりやすく会社の魅力を伝えることもできます。
【オウンドメディアの事例】
①株式会社LINE
LINEのオウンドメディア「OnLINE」では、社員一人ひとりにスポットを当て、ライフスタイルや仕事のやりがいを紹介しています。社員の登場数が多いことが特徴で、より入社後のイメージをつかみやすくなる内容を発信しています。
②株式会社メルカリ
「mercan」は、「メルカリの「人」を伝える」をテーマに運営しているオウンドメディアです。LINEと同様、社員一人ひとりにフォーカスし、社内の雰囲気や仕事内容が伝わるメディアとなっています。
③Base株式会社
「Base Book」は、「ありのままのBASEを読む」をコンセプトとして、BASEというチームの魅力を伝えるメディアです。メンバーへのインタビュー、社内制度、チームの取り組み、社内外のイベントをはじめ、普段の会社の様子を発信しています。
SNS
採用担当者個人や企業としてのアカウントでSNSを運用し、学生とのかかわりを持つ方法です。普段の会社や仕事の様子を発信することで、親近感を持ってもらいやすくなります。
学生とのかかわりの場を作り、信頼関係を築いていくことが重要になります。
SNSの事例についてはこちらの記事をご覧ください。
リファラル採用
新入社員や内定者の紹介も母集団形成の方法のひとつです。この方法は、他の方法と比べて応募数を伸ばすことが難しい一方で、より質の高い母集団形成が可能になります。この方法を行う場合は、特別選考やインターンシップなどのリファラル専用の受け皿を用意しておくとよいでしょう。
また、リファラル採用を目指すには、まずリファラル採用のフロー整理や、社員への啓蒙、社内キャンペーンの設計など、社内での働きかけが必要となります。社員に協力してもらえる体制づくりに工数がかかる点には注意しましょう。
まとめ
母集団形成を行う6ステップと、実際の母集団形成の手段7つをご紹介しました。
母集団形成のおいては、自社に合った方法を組み合わせることが重要です。
また、採用活動を成功させるためには、対象となる学生が今どんな情報を欲しており、どんなサイトからそれを仕入れるのか、また自社に対してどんなイメージを持っているのか等、ターゲットのインサイトに着目しながら、自社らしい採用手法を確立する必要があります。
そこで注目されているのが採用ブランディングです。採用ブランディングについてはこちらの記事をご覧ください。
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